肩の痛みと動きの制限(いわゆる四十肩・五十肩)
肩関節周囲炎は、肩の関節を包む「関節包」という膜が硬くなり、肩の痛みと動きの制限が起こる病気です。人口の2〜5%程度に起こるとされ、40〜60歳代、特に女性に多くみられます。「そのうち自然に治る」と言われることもありますが、実際には治療をしないと長引いたり、完全には治りきらない方も少なくないことが分かってきています。

原因
関節包に炎症が起こり、次第に線維化(組織が硬く厚くなること)が進むことで発症します。線維芽細胞という細胞が増えてコラーゲンを多く作り、関節包が厚い線維の膜のようになります。そこに血管や神経も入り込むことで、こわばりや痛みにつながると考えられています。
糖尿病(治りにくくなる要因としても知られています)、甲状腺機能低下症、心臓病、肩や首の手術歴、けが、脳卒中後、放射線治療後などがある方に起こりやすいとされています。
症状
肩関節周囲炎は、重なり合いながら次の3つの時期を経過するのが特徴です。
- 炎症期(目安2〜9か月):強い痛みが徐々に始まり、夜間に悪化しやすく、痛む側を下にして眠れないほどになることもあります。動きも少しずつ悪くなっていきます
- 拘縮期(目安4〜12か月):動きの悪さが目立つようになる時期です。痛みはやや落ち着きますが、動きの範囲の端(限界まで動かしたとき)に痛みが出ます
- 回復期(目安5〜24か月):徐々に動きが戻っていきます
検査
診断は主に問診と診察で行います。自分で動かす動き・他の人に動かしてもらう動き(他動運動)のどちらも、特に外側にひねる動き(外旋)を中心に広い範囲で制限されていることを確認します。
レントゲンでは通常はっきりした異常は見られません。MRIでは関節包(特に烏口上腕靭帯という部分)の肥厚や滑膜の増生、炎症の所見がみられることがあり、診断の助けになります。
治療
まずは手術をしない治療が基本です。
- 関節内注射(ステロイド注射):早い段階で行うと、症状の期間が短くなり、機能の改善も期待できます。理学療法と組み合わせることで、理学療法単独より効果が高いことがあります
- 理学療法(リハビリ):痛みを和らげ、動きの範囲を取り戻すことを目指します
- 飲み薬:消炎鎮痛薬や、短期間のステロイド内服が使われることがあります
- 関節内洗浄・拡張(ハイドロディレーテーション):ヒアルロン酸と組み合わせて行うと、理学療法単独より効果的なことがあります
- 体外衝撃波治療:糖尿病のある方など、ステロイドを避けたい場合に選択されることがあります
半年〜1年ほど保存的治療を行っても改善が乏しい場合は、手術(関節鏡での関節包切離術)や、麻酔をかけて肩を動かす処置(授動術)を検討します。いずれも痛み・動き・機能の改善が期待できますが、麻酔下での授動術は骨折や脱臼、神経の損傷などのリスクもあります。手術後も早期からのリハビリと痛みのコントロールが回復には大切です。
リハビリ
- 痛みが強い時期は無理に動かさず、温めながら痛みの範囲内で軽いストレッチを行います
- 痛みが落ち着いてきたら、肩の可動域を広げる運動を段階的に増やしていきます
- 焦らず、痛みに応じて根気よく継続することが回復への近道です
やってよいこと
- 痛みに応じて肩を動かす、リハビリを続ける
- 肩を温める
- 放置すると長引きやすいため、早めに医師に相談し治療を始める
さけたいこと
- 痛いからといって肩を全く動かさないこと(かえって硬くなりやすくなります)
- 自己判断で強く無理に動かすこと
受診の目安(このような場合はすぐに受診してください)
- 夜も眠れないほどの強い痛みが続く
- 発熱を伴う、腕や手に力が入らない
- けがをした後に急に動かなくなった
- 数か月たっても改善がみられない
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を保証するものではありません。症状が続く場合や心配な場合は、医療機関を受診してください。

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